モーリーの日記

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「緊急事態宣言」知っておくべきこと

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東京、神奈川、埼玉、千葉、大阪、兵庫、福岡の7都府県に対し、安倍晋三首相は4月7日午後5時43分、法律に基づく「緊急事態」を宣言した。

宣言の効力は5月6日までの1カ月。

 

この「緊急事態宣言」とはどういうものなのか、最近耳にすることが多い「ロックダウン」とはどう違うのか。

経済活動や日常生活にどのような影響があり、どのような課題が出てくるのかを特措法の条文に沿ってまとめた。

 

「緊急事態宣言」とは?

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内閣総理大臣は、国民の大部分が免疫を獲得していない感染症が発生した場合、緊急の措置を講ずるために「緊急事態」を宣言することができる。

馴染みのあるものとして新型インフルエンザがある。

 

根拠となる法律は「新型インフルエンザ等対策特別措置法(以下、特措法)」。

もともとは新型インフルエンザなど新感染症の対応策を定めるために2012年5月に公布されたが、この3月に新型コロナウイルスにも適用できるように改正された(「新型コロナウイルス特措法」)。

 

「緊急事態宣言」発令の条件とは?

 

内閣総理大臣が緊急事態を宣言するためには、特措法32条に基づき、以下の条件を満たす必要がある。

①国内で発生した新型インフルエンザ等が、以下の2要件を満たすこと。

  • 「国民の生命や健康に著しく重大な被害を与えるおそれがある場合」
  • 「全国的かつ急速なまん延によって国民生活と経済に甚大な影響を及ぼすおそれがある場合」

②事前に感染症に関する専門家ら「諮問委員会」にはかり、その意見を踏まえて緊急措置を実施すべき期間(2年を超えない期間。ただし1年延長可能)、区域、緊急事態の概要

(患者が確認された地域、患者数等、ウイルスの病原性、症状、感染拡大を防ぐために必要な情報など)を定める。

③緊急事態宣言の発令を国会に報告し、公示しなければならない。

 

この条件が満たされて宣言が可能となる。

 

 

「緊急事態宣言」となると何ができるの?

 

内閣総理大臣が「緊急事態」を宣言すると、対象地域の都道府県知事が法律に基づき、感染防止に必要な協力を要請・指示ができる。

実際の「要請」や「指示」を発するのは、内閣総理大臣ではなく都道府県知事となる。

ある意味宣言を受けた都市は、日本という枠ではなく知事をトップとした1つの独立都市として対策を考えることが出来るようになる。

 

「ロックダウン」と何が違うの?

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「緊急事態宣言」になると「ロックダウン(都市封鎖)」になる、そう思う人も少なくないが、現時点の日本はヨーロッパなどで見られる戒厳令のような「ロックダウン」とは異なる。

 

内閣官房新型インフルエンザ等対策室は、以下のように見解を示している。

欧米におけるロックダウンのように強制的に罰則を伴う都市の閉鎖は生じません

特措法に基づき、都道府県知事により外出自粛要請、施設の使用制限に係る要請・指示・公表等ができるようになります。

なぜロックダウンにならないのかというと、日本の現行法では「ロックダウン」の定義について定められていない。

日本の「緊急事態宣言」には罰則を伴う外出禁止命令や強制力をもって交通機関をストップさせるような都市封鎖を実施できる規定はない。

 

一方、諸外国をみると、イギリスフランスは買い出しや散歩、医療上の理由、必要不可欠な出勤以外の外出が原則禁止されている。

ドイツでも連邦政府が外出自粛などのガイドラインを発表され、ノルトライン=ヴェストファーレン(NRW)州など一部の州では違反者に罰金が課せられる。

イタリアでは鉄道の運行停止、移動制限や必要不可欠な部門以外の生産活動を停止しており、こうした措置を4月13日まで実施する。

公共の場所での2人以上の集会を禁止し、違反者には罰則を設ける州もある。

アメリでは連邦政府が3月13日に非常事態宣言を発出し、10人以上の会合やレストラン等での食事、不要不急の旅行を避ける等の大統領ガイドラインが出された。

ニューヨーク州では一部を除き出勤禁止となっている。

こうした国々では、行動制限が課される一方でロックダウンに伴う損失の補償、給付、休業補償などの公的支援などが施されている。

 

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「緊急事態宣言」になると、買い物等はどうなるの?

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緊急事態宣言が出された以降も、病院、薬局、コンビニやスーパーマーケット、食料品店など生活必需品を販売する施設が強制的に閉鎖されることはなく、買い物はできる。

また、JR・私鉄、バス、タクシーなどの公共交通機関の運行を制限するものではない。

電気、ガス、水道、電話、通信などのライフラインは平常通り維持され、現時点では銀行もメガバンクは全店で営業を続ける方針となっている。

 

都道府県知事は学校、デイサービスセンターなどの社会福祉施設、映画館や劇場など娯楽施設、一定規模以上の遊技場、百貨店、美術館、キャバレー、ナイトクラブ、ボーリング場などの遊興施設、理髪店、学習塾など「多数の者が利用する施設」の使用制限を「要請」することができる。

ただし「要請」に応じなかった場合の罰則はない

緊急事態宣言が発出された場合も、百貨店やスーパーマーケットの中の食品・薬など生活必需品の売り場は営業できる。

 

特措法45条の2

特定都道府県知事は(中略)学校、社会福祉施設(通所または短期間の入所により利用されるものに限る)、興行場、その他の政令で定める多数の者が利用する施設を管理する者又は当該施設を使用して催物を開催する者に対し、当該施設の使用の制限若しくは停止または催物の開催の制限若しくは停止その他政令で定める措置を講ずるよう要請することができる。

上記特措法45条の2に基づき、都道府県知事はイベント開催の中止などを「要請」することができる。

また、正当な理由がないのに施設管理者やイベント主催者が「要請」に応じないときは、都道府県知事が必要があると認めるときに限り、中止を「指示」することができる。

「要請」や「指示」をした場合、都道府県知事はその旨を公表しなければならない。

 

緊急事態宣言が出たことで、対象地域から別の地域に移動しようとする人も多いが、感染を広げたり、移動先の医療体制を逼迫させたりするおそれがあることを踏まえての行動をとる必要がある。

学校や保育園はどうなるの?

特措法45条の2に基づき、都道府県立の学校は知事の判断で休校とすることができる。

私立学校や市町村立の小・中学校、保育園や学童保育などは知事が休校・休業を「要請」することができる。

「要請」に応じない場合は、休業を「指示」できるが応じなかった場合の罰則はない。

また、私立については各学校の判断となる。

「緊急事態宣言」対象の自治体で外出はできるの?

都道府県知事は、生活維持に必要な場合を除き、みだりに外出しないよう「要請」できる。

医療機関への通院、生活必需品の買い物、必要不可欠な職場への出勤、健康維持のための散歩やジョギングなど「生活の維持に必要な場合」には外出できる。

ただ、「要請」に応じなかった場合の罰則はない

特措法45条

特定都道府県知事は(中略)当該特定都道府県知事が定める期間及び区域において、生活の維持に必要な場合を除きみだりに当該者の居宅またはこれに相当する場所から外出しないこと(中略)を要請することができる。

「要請」「指示」に応じなかった場合の罰則はあるの?

さまざまな要請・指示が出てはいるが、特措法の中で罰則が定められているのは、以下の2つのみ。

 

命令に従わず物資を隠したり、廃棄、搬出などをした場合

特措法76条 

第55条第3項の規定による特定都道府県知事の命令又は同条第4項の規定による指定行政機関の長若しくは指定地方行政機関の長の命令に従わず、特定物資を隠匿し、損壊し、廃棄し、又は搬出した者は、6月以下の懲役または30万円以下の罰金に処する。

物資の保管場所の立ち入り検査を拒否したり、妨害、虚偽報告などをした場合

特措法77条 

第72条第1項若しくは第2項の規定による立入検査を拒み、妨げ、若しくは忌避し、又は同項の規定による報告をせず、若しくは虚偽の報告をした者は30万円以下の罰金に処する。

「緊急事態宣言」により強制的な休業・収入補償はあるの?

 

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特措法では、民間企業の経済活動を強制的に止める措置についての直接的な規定はないため、現時点では緊急事態宣言による「要請」「指示」を受けて企業が休業したり、イベントが中止になった場合の補償についても定められていない

営業停止を求められた事業者などへの損失補てんについて、安倍首相は7日の衆院議院運営委員会で「現実的でない」と否定。飲食店に物品を納入する業者と飲食店を例にあげて「自粛養成している人(飲食店)に限って補てんするのはバランスを欠く」と述べた。

 

労働者においては、労働基準法26条で会社が労働者に仕事を休ませる措置をとるなど、会社の責任・判断で労働者を休ませる場合は、休業期間中に休業手当(平均賃金の60%以上)を支払わなければならないとなっている。

しかし、緊急事態宣言に基づく休業が「使用者の責任」になるかどうか不透明だという声が多数あがっている。

 

「国や地方自治体から自粛の要請を受けたということを理由にしたとしても、 会社が労働者に労務を提供させることが可能であるのに、自らの判断によって休みにする場合には『使用者の責めに帰すべき事由』(民法条項)があるものと考えられるとし、「労働者としては、会社に対して、就労させるよう求め、賃金全額の支払いを求めましょう」と労働者の権利擁護に取り組む弁護士団体「日本労働弁護団」は呼びかけている。

編集後記

新型コロナウイルスが齎すものは直接的な生命の危機に留まらず、経済活動や日常生活への影響により間接的な生命の危機を感じる人もいる。

企業においても課題は多く、延期となった東京五輪を前に経営の継続が難しい企業も更に増えてしまうだろう。

各自が優先順位を考え、情報を間違えずに理解することで、自らへの危機を最小限に留める努力が必要だと感じている。